金時豚独自の旨さを知る料理人から、
この肉質ならでは調理のヒントを。

金時豚は、赤身の旨味が強く、引き締まった脂身の甘みもしっかり感じられる美味しい豚肉です。
この肉の魅力を最大限に引き出すポイントは、塩の利かせ方と加熱する時の配慮。
そこで、金時豚をより美味しく食べるための料理人のひと手間をご紹介します。
料理のジャンルを問わず使えるテクニックです。

東京・西麻布「マ・キュイジーヌ」エグゼクティブ・シェフ  池尻 綾介 氏
東京・西麻布「マ・キュイジーヌ」
エグゼクティブ・シェフ
池尻 綾介 氏
金時豚の下準備

金時豚の旨みを引き出す、調理前の下準備

肉の味が強い金時豚は、調理前に塩でマリネすることをおすすめします。塩の目安は、肉の分量に対して塩1%。これを肉全体に振り、できれば一晩寝かせます。たとえ調理の30分前でも、このマリネをすることで肉の旨味が引き立ちます。肉の味がしっかり感じられるので調味料の量も減り、金時豚ならではの美味しさが料理に生かせます。

脂身から焼く

上質な豚肉だからこそ、脂身から焼く

金時豚の脂は純度が高く引き締まっているので、しっかり焼くと美味しく仕上がります。ポークソテーなど厚みのある1枚肉をフライパンで焼く時は、“脂身と赤身では火が通る時間が違う”ということを意識してください。フライパンは油を引かずに熱します。プライパンが熱くなったら、最初からペタンと肉を置かず、まず脂身だけ先にフライパンに当てて焼き始めます。脂の表面がこんがり焼け、十分に脂が溶け出してから、その脂で赤身を焼くイメージで着地させると、バランスよく焼き上がります。

金時豚の豚しゃぶ

劇的に美味しくなる、湯温80度の豚しゃぶ

赤身と脂分のバランスが良い金時豚をしゃぶしゃぶにする時は、80度くらいのお湯(または出汁)でゆっくり茹でると、断然美味しく食べられます。お湯にくぐらせるのは2分程度。適度に脂分が溶け出し、タンパク質がゆっくり固まることで、肉の味を逃さずしっとりとした仕上がりになります。食事中に温度を測るのは少々面倒臭いかもしれませんが、一度試して“正解”を味わってみてください。

金時豚を煮込む

煮込みは“マリネ+低温でじっくり”がコツ

金時豚は、肉の旨みに加え、肉に細かくゼラチン質が入っていること、アクが少ないのも特徴です。この肉を上手に煮込むには、低温でじっくり時間をかけてください。マリネした肉を、表面を焼かずそのまま水から鍋に入れ、一度沸騰させてアクを取り、その後は95〜98度(水面が少し揺れる程度)の湯温で2時間半から3時間煮込みます。これは肉の分量を問わず同じです。肉が柔らかくなったら鍋から取り出し、煮詰めて味付けをした煮汁に肉を戻し、味を馴染ませます。

Ma Cuisine Executive Chef
池尻 綾介

「白金 シェ トモ」、「ラ・ピッチョリー・ド・ルル」の料理長を務め、2010年に渡仏。
ブルゴーニュ地方「ジェローム・ブロショ 」セクションシェフ 、シャンパーニュ地方「パトリック ミシュロン」セクションシェフ 、「ビストロ le 7」代理シェフを勤め、2012年帰国。
その後「レストランひらまつ本店」「メゾン ポール・ポキューズ」などを経て、2019年に「マ・キュイジーヌ」を開業。

Ma Cuisine

フランスの大衆料理や郷土料理、自家製シャルキュトリを得意とする深夜ビストロ。
2019年未にオープンして間もなく『ミシュランガイド東京2021』(ビブグルマン)、『東京最高のレストラン2021』(今年の注目店座談会)に掲載される。

  • 東京都港区西麻布1-2-14 デュオ スカーラ西麻布WEST B1F
  • ℡:03-6455-4426
  • 営業時間:18時〜翌3時(2時L.O)
Ma Cuisine 店内
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